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FRESH INSTRUCTOR MTE INTERVIEW [後半]

2017.04.03

FRESHインタビューシリーズ。MTEのダンスライフや彼女独自の経験談に迫った。
後半では、彼女のダンス観を培った過去のドラマ、そしてこれからの夢に迫る。


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●過去があったからこそ、踊れるダンス。MTEの魅力。

ーーさて、MTEさんはダンススタジオに通い始めた当時から目立つ存在だった、と聞きましたが?
当時の先生だったHONGOUさんからは毎回「なんでそんなんなん?」て言われていましたね(笑)
「なんでそんな髪型なん?」とか「なんでそんなセットアップを着てるん?」とか!

ーー目を引く生徒だったんですね。(笑) 派手な事が好きだったんですか?
いえ、実は私、家庭環境がすごく複雑だった影響で、小さい頃は家族以外の人とは一切話せなかったんです。人見知りが激しくて学校に行ってもずっと黙ってたり。
その代わりに普段から溜まっていた感情を吐き出すために一人で部屋に引きこもって踊ってました。

ーーそんな時期があったとは。今の太陽のようなMTEさんからは全く想像できませんね…。どのタイミングでそれが変わっていったんですか?
小さい頃は一人でいることが多くて、「私はなんのために生まれたんやろ」ってずっと考えてました。
でも踊ってると自然にみんなが寄ってきてくれて、仲良くしてくれて。そこでようやく存在意義を感じました。
踊っていると周りに喜んでもらえて、「自分はこれなんだ!」って腑に落ちたというか。
幸い、根がポジティブだったので、色々な家庭でのドラマを乗り越えることができましたね。

ーーMTEさんの周りに自然に人が集まってくるのは、今でも同じですよね。幼い時はすごくシャイだったということですが、ステージに上がった時に緊張はしましたか?
緊張は全然しなかったです。普段はシャイだけど、ダンスしてる時は「無」の状態になります。
自分を表現できる時間だったから緊張はしなかったですね。口下手でおしゃべりできなかったけど、ダンスでの表現はその分うまくいったんです。

振り付けをする時は、自分のドラマを表現したいと思っています。
自分の根っこの部分をテーマにして、自分と同じ様な経験をしてきた子たちに対して「大丈夫だよ!」って励ますような。
私のレッスンに集まる生徒さんって私と同じく、家庭環境が複雑だったり寂しい思いをして育った子が多いんです。
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ーーそれは興味深いですね。どこか共鳴する部分があるんでしょうか?
そうそう。
私の場合は根っこが強くてポジティブだったし、ダンスがあったから乗り越えてきたけど、みんながみんなそういうわけにはいかないんです。
過去にトラウマがある子って、ぐっと頑張らないといけない時に自信がなくなってしまったりすることが多いので、これからの目標としてそうやって寂しい思いをしている人たちの支えになる活動をしていきたいですね。
今の時代、そういう子たちは増えていると思うし。

ーーそれは大事なことです。
ええ。私にできることは向き合うとか、語り合うとかじゃなくて、一緒にダンスを踊って「楽しいねー!」ってなることですから。
心を頭(声)で伝えるより、心は心(踊)で伝えた方が通い合えると思うんです。

極端な話、人を楽しませたり、癒したりできるならダンスじゃなくてもいいなって思いますね。
ダンスは自分の感情表現としてのツールであって、たまたまそこにみんなが集まってきてくれているだけなので。
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ーーきっと過去の暗い経験を持つMTEさんだからこそできることもあります。「憂い」を持つ女性ほど美しく強いものです。
「憂い」って綺麗な日本語ですね!(笑)
私、周りの人から「happyやね」とか「幸せそう」ってよく言われるんです。
でも自分の中では幸せの基準が周りの人と異なってるんです。
例えば、家族で食卓を囲んだことがなかったり。だから。誰かとお茶したり誰かとご飯を食べれるだけで幸せなんです。
みんなにとっては当たり前のことでも私にとっては「子どもの頃からの夢が叶った!」っていう感覚ですね。
バックダンサーとして芸能人と仕事したり、紅白に出たりということは、周りの人からしたらすごいことかもしれないけど、「本当に大事なのはそこじゃない!」って思いますね。

MTEが、楽天的なダンサーではなく、複雑な経験や後ろ向きな感情も含めて、明るく生きているということを感じ取って、似たような経験を持つ人が彼女の周りに集まっているのかもしれない。
皆に愛を与えたいという天性の母性を持つMTEの活動の幅がダンスにとどまらず、広がっていくということはごく自然な事だろう。

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●キッズダンサーの第一世代としてのMTE

ーーMTEさんの世代がいわゆる「キッズダンサー」の第一世代ではないか、と思うのですが?
そうかもしれません。スタジオに通って本格的にダンスや歌を習うという意味では。

ーー大人に混じってやってたということですが、その頃はキッズクラスはなかったということですか?
キッズのクラスはなかったですね。レッスンの中に子どもはいたけど、そもそも「キッズダンス」というくくりはなかったですね。
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ーーダンス人口が爆発的に増えて、キッズダンサーが非常に多くなった今、シーンに対して何か思うことはありますか?
今のキッズのシーンについてあまり詳しく知らないからなんとも言えないですね。(笑)
でも私がどれだけ感覚的なところを引き出したり、教えようとしてても、それが伝わらない子は、「それがセンスだよ」って言いたくなりますね(笑)
ダンスにセンスがないダンサーって生き方にセンスがないダンサーだと思います。
センスがある子ってそのままでいけちゃうし。そういう子が増えてほしいなぁとは思いますね。

かっこいいものとかかっこいい人って(コアな場所という意味で)「秘密の部屋」にいて、こちらから探しに行かないと遭遇できないと思うんです。でも表面的にダンスしている人たちって、群れてるようにしか見えないですね。

キッズに対しては生き方や選択の仕方を教えてあげるべきだと思います。
ダンサーは自分を売りにしているから「生き方」とか「何を背負ってるか」っていうところがすごく重要になってくる。

ーー目指すべきは「生き方がかっこいいダンサー」ですね。その人の生きざまがダンスで出た時に人の心を動かすと思います。最近ではどうしても「ダンスが上手い」が全てになりつつある風潮があります。
でも、City Attackを見たりして思うのは、大阪には心をバーンって震わせるようなダンサーが多いということです。
だから私も大阪を拠点にしているということに誇りを持ってますね。かっこいい人が多い分、厳しい人も多いと思うけど。
40歳前後のかっこいい大人たちがクラブシーンで走り続けてくれているということが私たちやその下の世代にとって大事だなって思っています。

さすがティーンの頃から大阪のダンスシーンの中で育ってきたダンサーである。甘えがない。
「なし」と思う事に対しては毅然とした態度をとるところに彼女の芯の強さがうかがえる。


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●ジャンルにとらわれない「MTEスタイル」について

ーーユニットでMTEさんと一緒にショーをしたGANG☆MANISHのHi-SAEさんにMTEさんの印象について聞いたら『みんなが輝ける振り付けやステージ演出をするのが得意な人やね』とおっしゃってました。
ありがたい!私、なぜか他ジャンルの方からものすごく好かれるんですよ。
神戸のレッスンをもっていた時に、発表会で私の作品をHi-SAEさんとZOOさんが見て「なにあれ!あれやりたくない?」と反応してくれたのが始まりなんです。そこに(甘い飴の)TAMAちゃんも入って「featuringさせてください」って言われたのが始まりでしたね。
そうやって他のジャンルの方に気に入ってもらうことが多くて。

ーージャンルの枠にとらわれず、ありのままの感情を表現しているからなのでは?
そうですね。でもその事で苦しんだ時期もありました。
言ってしまえば“JAZZ”でもないし”HIPHOP”でもないし。
過去にジムでのレッスンを持ってた時期に他のHIPHOPのクラスのインストラクターから「そんなのHIPHOPじゃない」て言われて落ち込んだ記憶があります。
「私、誰よりも生き方HIPHOPなのに!!」って。
自分が踊っているダンスのスタイルに対して「自分はこういうダンスをしてます」と言葉で説明が出来ないことが苦しかったりしましたね。

でも、ジャネットのバックダンサーの方たちって私から見たらすごくHIPHOPなんです。
バレエもジャズのボキャブラリーも持ってるダンサー達でしたけど、HIPHOPを感じましたね。
色々な感情と戦い、気が付いたら自分のダンスを説明する時に「MTEスタイル」と言うようになりましたね。
「私は私です」って感じ!

ジャンルの枠に収まらない規格外なダンス。そしてMTEの言葉には迷いがなく、聞いていて気持ちいい。
便宜上、FRESHでのレッスンのジャンルは「STREET JAZZ」と謳ってはいるが、彼女の生き方、アティテュードは間違いなくHIPHOPに根ざしたものだろう。
「ダンスはスポーツではなく、アートだ」ということが再確認された時間だった。




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MTE LESSON INFORMATION
毎週木曜日 20:00 - 21:30
STREET JAZZ レッスン

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インタビュー・文 : Seiji Horiguchi

Seiji Horiguchi
フリーライター。
新聞記者になることを夢見る学生時代を経て、気づけばアメ村に。関西を中心に、アーティスト(ダンサー/ラッパー/シンガー/フォトグラファー/ヘアアーティスト stc…)のプロフィール作成やインタビュー記事の作成を行っている。
現在の主な執筆活動としては
・FRESH DANCE STUDIOインタビューシリーズ
・カジカジ、連載「HAKAH’S PROCESS」
・その他パーティレポ、ダンスチーム紹介文、音楽作品の紹介
などが挙げられる。
大阪のストリートカルチャーにアンテナを張りつつアンダーグラウンドの「かっこいい」を広めるべく日々執筆中。


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