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FRESH DANCE STUDIOプレゼンツ・インタビューシリーズKAZUKIYO

2018.10.01

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FRESH DANCE STUDIOプレゼンツインタビューシリーズ。今回はBOUNSTEPよりKAZUKIYO。
関西屈指のハウサーとして数々のバトルやコンテストでタイトルを獲得し、名実ともに日本最高峰のハウサーの一人である。

近年は、ジャッジやゲストショーで多忙にしているかたわら、自身でも一風変わったメニューのバトルやショーイベントを主催し、話題を呼んでいる。
彼の活動や、ダンススタイルはシーンの中でも影響力があることは間違いないのだが、
そのコアとなるライフスタイルやマインドは今まで多く語られることがなかった。

今回のロケーションは眠らない町 宗右衛門町の一角にあるお好み焼き屋。
ビールのグラスがぶつかる音とともに、和やかな雰囲気の中インタビューは始まった。


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1,KAZUKIYOのダンサーとしての軌跡。

本日はよろしくお願いします。まず自己紹介からお願いします。

溝口かずきよです。84年生まれの33歳。O型です。山口出身です。
生まれは福岡で、育ちは山口ですね。

同い年のダンサーだと誰がいるんですか?

まず相方(ゆりっち)と、(sucreamgoodmanの)YOHEIとかU-SUKE KYOTO JAPANとか
ますよしとか、GOLFとか、たかのりとか、DJやってる兵庫のZAKUROとか。

何歳の時に大阪に来られたんですか?

高校卒業して、キャットに入学するタイミングで来た。ダンスしたくて。

ダンスとの出会いは?

高2から高3にかけてかな。
初めて人前で踊ったのはモー娘。なんよね。

意外すぎます。(笑)

いっとった高校が男子校で、
「アイドルを完コピして踊ったらおもろいんちゃうか」っていう高校生ノリで、やっとった(笑)
俺、全然踊れるわけじゃなかったんやけど、クラスでも前に前に出るタイプやったから
「俺がそのダンスを覚えてくるわ!」って言って、モー娘。のファンクラブに入ってるやつにPVのビデオ借りて
家帰って覚えてみんなに教えて、みたいな(笑)

すごい始まりですね。

その中で、振り付けもない間奏部分があって。
「ここ何しよう?」ってなった時に同い年で唯一ダンスできるやつに教えてもらって。
見よう見まねでやっとったら、ダンスやってる先輩に
「お前踊れるんか。俺ダンスやってるから一緒にやれへん?」って誘ってもらって本格的に始めた。

その方のジャンルは?

その時はLOCKやった。その先輩に色々教えてもらって。
RAVEのビデオテープを借りて、LOCKでHiltyとかGO GOとか出てて。
でも自分は元々HIP HOP聴いてたのもあって先輩と見よう見まねでHIPHOP始めた。
ある日福岡の小倉ってとこに遊びにいったら、たまたまショップのスタッフがダンサーやって
「自分らダンスやっとんの?」って声かけてくれて。仲良くなってダンスのビデオを貸してくれて。
アライブとかMo’Paradiseとか、そこからHIPHOPどんどんはまっていったね。

初めは誰かに習うというよりも、模索して踊るという環境だったんですね。

そうそう、ビデオ見ながら見よう見まねで。
そこのショップに「ダンスフィールド」っていうビデオも置いてあって、
SoundCreamSteppersがHIPHOP踊ってるとかJUNGLEとかが踊ってるのを見てた。
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HIP HOP一本だったんですね。その頃はHOUSEに興味は?

もちろんRAVEの映像とかでSODEEPとかPYROとか出てたけど、今思うと失礼な話やけど、その当時はまだよくわかってなかったというか「アクロバティックやなー」みたいな(笑)
一瞬ブレイクダンスをやってみたいと思って、アクロバティックにも挑戦してみた時があったんやけどすぐやめたね。いてえし!

(笑)シンプルな理由…!

それよりは立ちの踊りの方が好きだった。その頃からステップは好きやったね。それが高3の頃かな。

その段階で大阪にでて、本格的にダンスをしたいという気持ちはあったんですか?

そうね、また別の先輩が「お金を稼ぐなら東京に行った方がええ。マニアックなダンスやったら大阪がええ」って言ってくれて。

確かに今もそういった都市ごとの認識はありますよね。

やっぱり自分はマニアックなダンスやりたい、って考えで大阪をチョイスした。そこでキャット(専門学校)に入学した。

キャットの話を聞かせて欲しいのですが、ダンスの専門学生の生活とは、どのようなものなんですか?

もうずっとダンス。ジャンルもいっぱいやるし。
あまり通わなかったレッスンもあったね。ルーティンが多いクラスは、全然行かんかったね。2回くらいしか行かなかったとこもある。
放課後に溜まり場みたいなところにみんながいて、練習したり踊りあいしとるんやけど、そこには行ってた(笑)
でも基礎をずーっとやるところはしっかり受けてた。
JAZZは結構やったかも。ストリートジャズだからアイソレとかターンとか。ターンはめっちゃ練習したね。
LEEさんのクラスとか。

必要だと思うことを吸収していくという。とがってますね!

あと、(JIGの)TSUKASAさんのレッスンだけは、ほぼ休まず全部通った。
唯一最終日だけ行けなかったけど。

最終日だけ休んだのは、なぜですか?

寝坊!(笑) 皆勤目前だったのに最後の最後にやらかしたね。(笑)
友達からもめっちゃ連絡きててさ。

(笑) とはいえ、キャットのクラスの中でもTSUKASAさんのクラスは、ずっと通うくらい性に合っていたということですよね?

いい意味で厳しかったね。「そんなんもできひんのか」くらいのテンション。
俺もそういうストイックなレッスンは好きやし、負けず嫌いタイプやから、触発されるんよね。

HOUSEとの出会いというか、興味を持ち出したのがキャットでのTSUKASAさんのレッスンなんですか?

そう。相方ゆりっちとの出会いもキャットやね。ゆりっちはバリバリLOCKやってた。HANAIさんの生徒で。
もともと別のチームを組んでて、めっちゃ良いショーをしてて。
俺は俺で別の子とチーム組んでたけど、BIGBANGに出ようって思った時に、ゆりっちとやりたいなと思って声かけたのがきっかけ。
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BIGBANGへの挑戦がチーム結成の由来だったんですね。「BOUNSTEP」というチーム名はその頃から?

そうそう。「バビブベボ」っていいなって(笑)
あとは「BOUNCEとSTEP」混ぜたらいいなみたいな。HIPHOPも好きやし、他のジャンルも好きやし。

その時のジャンルは何と名乗っていたんですか?

「フリースタイル」っていっとったんじゃないかな。「これがHOUSE」っていうのもその時あんまわかってなかったし、
自分らの中でもごちゃまぜにしてるイメージやったからHOUSEとは言ってなかったと思う。
むしろHOUSEって言い出したのは最近ちゃう?
あえていろんなスタイルをやってる自分たちがHOUSEっていうことでHOUSEってジャンル自体が広がると思って。

HOUSE自体がそもそも自由度の高いジャンルということもありますよね。

最近、またDance Fusionが「HOUSEはこういうものです」ってknowledgeの部分も
伝えてくれとるけぇ、HOUSEについての認識がまた定まってきてるところはある。

カチッとした定義がなされてきていると。

ただ、オリジネーターもいろいろ通ってきてのあのスタイルやから
今、提示するものがそうであっても、バックボーンは違う。HOUSEやからこうせんといけんってことはないというか。
俺らもジャンルを聞かれれば「HOUSE」って答えるけど、あまり固くは考えてないかな。


BOUNSTEP / HOUSE DANCE CROSSING 2016

KAZUKIYOさんゆりっちさんの2人は、ダンサーとしてタイプがかなり異なりますが
不思議とその個性がかみ合っていて、全体を通して「BOUNSTEPらしさ」が生み出されているイメージがあります。
二人の共通点はどこにあると思いますか?逆に似ていない部分はどこですか?


感覚的に共通するところはいっぱいあると思う。まず絶大に信頼してるってところがある。
信用してるから、振りをポンって持ってこられても、「これ違う」とかは一回も言ったことない。
もちろん「もっとこうしたらこうなるよね」とか修正はあるけど、
「ゆりっちが言うんやったら」やってみようとか。逆も然り。基本的には何も口出しはしない。
感覚も常に変わっていくものやから。「今の相方の感覚はこうなのか、なるほど」とか。
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すごく高い次元の話ですね、かっこいいです。

最初はコンテスト勝ちたいからチーム組んだけど、継続していく中でダンスがいいっていうよりかは、
(相方の)人間がいいって思うようになった。相方もそう思ってくれてたらいいなぁ(笑)

もちろん思っているはずです!(笑)

でも高校とかで会ってもタイプ的に絶対仲良くなれなかったと思う!
俺みたいなタイプ嫌いやろしね。やかましいタイプやから苦手やろし。
相方はめっちゃ人見知りで、気をゆるした人とじゃないとなかなか喋れん。今は全然マシになったけど。

話の内容は次第に過去へスローバックしていく。
どのようにしてストリートダンサーとしての道を歩んで来たのか。
グラスを傾けながら徐々に饒舌になるKAZUKIYO。
柔和でありながら確固たる芯を持つ彼の通ってきたキャリアには耳を傾ける価値がある。


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2,「ストイック」と「遊び」のバランス感覚

現在のKAZUKIYOさんの一週間のスケジュールは、どんな感じなんでしょう?

月曜 : 昼から神戸のGOLD GYMでレッスン
火曜 : 休み
水曜 : A-Shレッスン
木曜 : SUNNY HOODレッスン
金曜 : またGOLD GYMからの、アメ村に帰ってきてFRESHレッスン。
土曜 : Alleyoopレッスン
日曜 : 休みにしてるけど、最近は結構地方呼んでもらったり、イベントしたり。
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先日、DJ K-KATSUさんにmix CDについてのインタビューをさせていただいていた時に
たまたまKAZUKIYOさんもフラっと通りかかって、流れでみんなで話し込みましたよね。
K-KATSUさんとKAZUKIYOさんの対談インタビューのようで、貴重だし面白かったです。


面白かったねー。KATSU君とも、ゆっくり話する機会って最近なくなったから。話せてよかった。
昔自分がマンチャン(※)にダンサーとして入ってた時は、クラブ終わりに王将行って昼まで飲んでたとかもあったけど(笑)

(※Monday Channel...現在アメ村mizu no oto(元UNION)にて毎週月曜日に開催されているHOUSE MUSIC PARTY. パーティオーガナイザーはDJ K-KATSU.)

前々から思っていましたがすごい遊び方です。皆さんタフですよね…。

その時はYUKIHIKOもおったね。

もともと、マンチャンのホストダンサーとしてKAZUKIYOさんYUKIHIKOさんの2人が参加されていたんですか?

あと、TOMちゃんとかもいたし、DJだったらBANちゃん(BANZAWA)もいたり。
もともとはflatって箱でやってたWednesday NightをKATSU君が引き継いで今はもうないけどKANONて箱でやってて
そこに自分が遊びに行ったら「ただで遊んでいいからサポートとして入ってくれない?」って誘ってくれて。
ただで遊べるんだったらやるやるーって言って参加したね。
そこからしばらく続いて、KANONが終わって、Sound Channel(サンチャン)ができるタイミングで、
月曜に引越しして、「Sound Channelの月曜日のパーティ」ってことで「Monday Channel」になった。

そういう流れがあったんですね。

その時は俺とYUKIHIKOの二人がホストダンサーとしてやらせてもらって。
メインのフロアでKATSU君が回してて、手前の方のラウンジフロアでヒロ君(DJ QUESTA)が回してて。
俺はメインフロアじゃなくてラウンジフロアのCHILLな方で
カホン叩いたり、ギター弾いたりヒロ君のかける曲でバーカン前の狭いスペースでバク踊りしたり(笑)
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自由な空間だったんですね。

来てくれた人と話してケアするっていうよりかは、好きに楽しんで踊る方が自分らしいし、
KATSU君にも「お前はそれでいい」って言ってもらってた(笑)
1人でもブワーッと踊っとったら、なんか盛り上がってるように見えるやん?

確かにKAZUKIYOさんのクラブでの存在は大きいですからね。目立ちます。

でも、UNION(現mizu no oto)に移動ってなった時に、自分のタイミングもあって抜けさせてもらった。
スタッフとして毎週そこにいるよりかは、自分のタイミングで遊びに行く方が自分にあっとったし。
少し無理してる部分もあったから。

個人的な話になりますが、自分は大阪に出てきた時に初めて行ったパーティがUNION時代のマンチャンでした。
YUKIHIKOさんをはじめ、ホストダンサーの方がスマートに遊んでるのを見て「かっこいい…」と思った記憶があります。
その頃に比べると、ダンサーが少し離れてしまったのかなという寂しさを感じることもあります。
KAZUKIYOさんから見てHOUSE人口は減っていると思いますか?増えていると思いますか?


学生のダンサーとか、レッスンに来てくれる人は前に比べればめっちゃ増えたけど、
クラブに遊びに来る人は少ないから、そこがコネクトしきれてないのかなとは思うね。
自分は世代的にはギリ、KAZさんとかTSUKASAさんに遊びに連れてってもらってたり。
とにかく先輩といろいろ遊ばせてもらってたのは大きいね。
クラブに行くのがかっこいいって認識やったけど、今はそこまで「かっこいい」ということにフォーカスしていないのも大きいかもしれないね。
ただ楽しかったり、コミュニティに所属していることが居心地が良かったりとか。
シンプルに「こういうのがかっこいい」「かっこよくなりたい」という感覚ではなくなっているのかなと思う。
あとは「このイベントに出た」とか「このイベントで結果出した」ということがステータスになっている。

それも今回、聞こうと思っていたテーマなんですが、ADHIPが主催しているTHE GAMEやHOOK UPなどのバトルイベントには
かなりの数のダンサーがエントリーする一方で、マンチャンをはじめクラブに遊びに行くダンサーはかなり少ないという現状があります。
逆にKAZUKIYOさんは、クラブにも遊びに行くし、同時にバトル/コンテストでも堂々の成績を残されています。
そういった「ストイックさ」と「遊び」のバランスは難しくなってきているのかなぁと。


昔に比べたら、すべてにおいて熱量は低めなんじゃないかな。
バトルも、みんな出てはいるけど、「絶対優勝してやろう」って思っとる人は少ないと思う。
クラブも「みんなが行くんなら行こう」とか。
ダンスって、サブカルというか限定された文化だったけど、今それが(人口が増えることによって)当たり前になってきてて
特別じゃなくなってしまってるんよね。それがいい悪いとかじゃないけどね。その人にとってはそれが普通なんやろし。時代かな。
ダンスのスタイルでも同じことが言える。右向け右の風潮というか。うまくなりたいからこの人についていこう、とか。
コンテストでも、「これだったらジャッジに気に入ってもらえるかな」とか合わせに行く人が多い。
「俺はこう」とか我はない。あったとしても薄い。

感覚は常に磨いていく必要がありますね。

自分も入りはバトルじゃなかった。
THE GAMEの1回目でた時に気づいた。ベイサイドでやってた回にでたんやけど。あの場で、「踊り合う」ということを学んだというか。

それがバトルとの出会いだったんですね。
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地元のクラブで揺れてはいたけど、誰かと向かい合って踊ることはなかった。
THE GAMEに出て初めて「こういうのがクラブでもあるんだ」って気づいて。
そこからは誰かれ構わずバトルを仕掛けるようになった。それがバトルの入りやね。
それとは別で先輩にクラブに連れてってもらったりして話聞いて、「こういうことか」って気づいたり。それで今がある。
最初の入りから「クラブで遊んどるのかかっこいい」ていう価値観があったわけじゃない。
気づかせてくれた先輩がいたからこそやね。そういう意味では運が良かったと思う。

印象に残っている、年上のダンサーとのエピソードはありますか?

グランカフェに遊びに行って、バーっと踊ってる時に(NAPPY HEAZの)TOSHIYAさんが近づいてきて踊りあいが始まって。
もちろん俺もTOSHIYAさんの事は知ってた。
「俺、TOSHIYAっていうんやけど、いろんな奴に今、イケとるハウサー誰なんって聞いたらみんなお前って言ってたから、来た」
って言われて、
「やば!この人カッコいいー」ってなって、そこから最近も仲良くさせてもらってるね。
踊りももちろん、男気があって野生的でカッコいいし!

昔から君臨されているハウサーの一人です。その世代と繋がれているのは確かに大きいですね。

PROPSがAZUREで毎週木曜やってた時は、月曜マンチャン、木曜PROPSで楽しかったね。
月と木で、ちょうどいい具合に日も離れてて。(笑)

今は平日にパーティがどこかしこで開かれる時代ではないですからね。

そう。やからその時代を体感してたのは自分にとって大きいかな。
今では、ダンサーのコミュニティが強いから、ダンサーがやってるイベントは遊び行ったりするよ。
DJは知らないけど、知り合いのダンサーが告知してたから行こかってことが多い。
意外とどんなジャンルでも楽しめるし、「今、こんな感じが流行っとるんや」みたいな新しい発見があったりするから、
あまり食わず嫌いはない。さすがにトランスとかアニソンとかまでいくと厳しいけど。

突き抜けて没頭し追求することによって、ダンスのスキルのみならず
シーンにおけるマナーや、サバイブのhow toを自然に獲得してきたことも
彼の求心性やダンススタイルにつながっているのかもしれない。
そのままインタビューは終盤へ。


3,もっと自由に。もっと感覚的に

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抽象的な表現って今、あんまりよしとされていないというか。
理屈で説明できるものしか、表現できないことが多いと思うんやけど、
「なんか、いい」みたいなんが無い。全部、シルエットにしても、ステップにしても言葉で説明できてしまうやんか。
「こうやったらかっこいい」「こうやって揺らしたら」とか口で説明してクリアにしようとするから。
それのせいで、全部理屈っぽくなってしまってる気がする。感覚が無いというか。
これはHOUSEに限らずどのジャンルでも言えると思うけどね。

なるほど。

しかも、今機械でなんでもできるやん。
ルーパーで音楽が作れて、編集もできて。調べれば全部情報が出てきたり。
「これなんやろ」って考えることが最終的にクリエイトすることにつながるのに、それができない時代になってしまってる。
「そうなんや。そうなんや。」って結果だけを受け取る時代になってきてて。
そのくせプライドは高くて、言葉も表面的で。謙遜してる時も形式上の言葉だけだったり。
だんだん「ロボットとしゃべっとんか」と思うくらいやわ。(笑)
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クリエイトする力が失われつつあるのはこれからの時代、より進んでいきそうですね…。

もちろん調べて得れる知識の部分も必要だとは思うけどね。
でももっと荒くていいと思うんよ。感覚と知識のバランスが大事。感覚も養っていて、知識も備わってるみたいな。
両方あれば、人間的には強いかな。

若い世代でも、感覚の部分に気づく人とそうでない人の差は大きいでしょうね。どうすればそれが改善されると思いますか?

今、上にいる世代の人らより、相当努力しないと無理やろね。
自分は背中では見せていきたいけど変に先輩面して、言い過ぎたくない。センスない人に熱く言ってもわからないから。
踊り合いとかは全然するし、踊り合う場に(年齢が)上とか下とかは関係ないし。先輩にしてもらったことを自分もしていきたいね。
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最後にKAZUKIYOさんが主催するイベントについて話を聞かせて欲しいです。

今、3つのイベントを主催してます。
HOUSE MUSIC縛りの1ON1バトル、”TALKIN’ HOUSE”
DJタイムとショーケース、そして生音も絡めたパーティ、”HOUSE UNITE”
そして、今年初めて、HIPHOPとHOUSE MUSIC縛りの2on2とコンテストのイベント”UPRISING”を開いた。
やっぱりHIPHOPとHOUSEをクロスオーバーさせれたらと思ってる。
これから形は変わるかもしれないけど。

「こういう空間にしたい」など、理想はあるんでしょうか?

んー…ない!みんなが楽しめれるようにってくらいかな。
もともとは自分のレッスンに来てくれる子たちのためのイベントっていうのが軸にあって。
ずっとレッスンに来てくれるけど、発表会以外に踊る機会はないんよね。
「クラブにおいでよ」って呼べる年齢でもなかったりするから。その人たちが主役になれる場所を作ろう、と。
あとスタジオの発表会って他の先生とか生徒と仲良くなりにくいから、
いろんな人と繋がれたらもっと面白くなるんちゃうかなと思って。
あとは生音が鳴るイベントを作りたかった。

生音というと、バンドを呼んだりということですか?

そうやね。自分の つて やけどね。ドラムだったりジャンベだったり。
この前はベースとタップ。めっちゃよかったね。タップの人はSavian Gloverっていうタップダンス界のトップの人のツアーに一緒に回った唯一の日本人に来てもらった。たまたま大阪に住んではって。
よくハウサーも、タップのステップとか踏むけど、テクニックとしてしか使えないから
楽器感覚でステップを使うだけじゃなくて本物に触れてほしくてそういう機会を作った。

とても貴重な機会ですね。タップダンスを生で見る機会というのは意外と少ないです。

バトルの方は1on1のフルトーナメント。
自分、実はサークル予選があんまり好きじゃなくて。大勢の前で話しているような空間が苦手で。
じゃなくて1対1の会話としてのバトルが好き。会話って1対1じゃないと深いところまでできないと思う。
サークルの方が手っ取り早いけど、それよりコミュニケートする方が大事だと思う。
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「相手に伝える」ということに重きを置くスタイルですね。

そうそう。
自分もそういうのが好きというか、踊り合うにしても、サークル形式で踊るのは苦手で。
サークル予選の時は周りをシャットダウンせんと踊れん。サークル形式やと4人が限界!5人まで行くともう(集中が)どっかいってしまう!(笑)
だからフルトーナメントにこだわってる。

そういう意味でも、生徒さんが主役になって踊る舞台をメイクするという狙いがあるんですね。

そやね。自分が一番繋がっとるところを大事にしたいっていうのがあるけぇ。
相方もそうやし、「KIVA」ってクルーもそうやし、自分のレッスンに来てくれとる人も大事な存在やし。
なんとかしてあげたいという気持ちがある。
レッスンでやってることが、イベントに出たり、ショーを見たりして
「あぁこういうことなんかなぁ」って気づいてもらうきっかけになるっちゅうか。
実際に気づいてるかどうかはわからんけどね。(笑)

イベントの開催以外に、「こんなことしていきたい」などありますか?ぼんやりでもいいのですが。

楽器かな。
今でもギターとか遊び程度にやってる。ボブマーリーの曲を弾けるようになりたい!
ドラムも8ビートから遊べるようになったらなぁと。
DJには興味はないけど、楽器はできるようになりたいなぁと思うね。
ダンサーであることを軸に、プラスαでいろいろ挑戦できたらいいんじゃないかなぁと思う。
ダンサーがMCやったり、楽器やったり、ができたらおもろいんちゃうかなぁって。
それ発信で本格的にやってる人らも含めて繋がっていくと、もっと濃くなるんちゃうかなぁと思う。

ダンス以外の表現にもチャレンジしていく、という。

歩み寄りが大事だと思うんよね。
自分がミュージシャンの動きをすることによって、ミュージシャンの人への歩み寄りになるし。
「なんか好きやから呼ぶ」よりも、自分が実際にやってみてからの方が凄さがより分かるし。
やみくもに「生がええ」っていう発想より、やってみて凄さがわかった上で呼ぶ方が来てくれる人にも、もう一個深く伝わると思うし。

自分もDJに挑戦してみて初めてDJの凄さや奥深さがわかりました。DJの手元を眺めたりするのも楽しいし。

仕組みがわからんと、興味に繋がらんよね。
HOUSEのDJでもフェーダーをつまんで音をいじってるけどあれも何やってるかわからんしね。
「ノリでやっとんちゃうん!音は変わってるけど!」みたいな。(笑)
仕組みがわかることで、もう一個深くDJプレイを聴けるようになるよね。

イベントに生音のアーティストを呼んだ時は、その音で踊ることにもなったんですか?

踊った。というか自然にそういう流れになった!おもろいよね。
最初は見て欲しいし、自分も見たいっていうところでイメージしてたけど
気づいたら3,40分くらいみんなも踊ってて、俺も気づいたらタップの板に乗って音鳴らしてて(笑)
そこに子どもたちも呼んで踊らせたりね。
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ピースな空間ですね。

自分のイベントに関しては、楽しければ何でもありかな。
7:30終わりやのに、ショーが終わったのが8時とかやって(笑)
会場(SPACE A-Sh)を借りてる時間のギリギリまでDJタイムで、残り5分で撤収するみたいな。
こっちがゆるいと、みんなも「これでいいんや」って自由に楽しみやすいと思う。
自分もきっちりされるのがあまり好きじゃないから。
レッスンとか踊る時は、真剣にやるとこやから締めるけど、抜くところは抜きまくっていいんちゃうかなぁ。
準備はしっかりうまくいくようにやって、当日は全部ぶっ壊すくらいゆるく面白く、みたいなイメージ。
どんだけ壊せれるか、みたいな。
あんまりかっちりしすぎると今の世の中みたいになるから。
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インタビューは2時間にわたり、KAZUKIYOのライフスタイルに関する話は(時に脱線しながらも)たっぷり語られた。
彼がたどってきたキャリアは決して「思い出話」という言葉で片付けられるほど、軽くはない。
そこには我々がヒントにすべきエッセンスがたっぷり詰まっていた。
自らの感覚に素直に従う彼の言葉には不思議な説得力がある。

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インタビュー・文/Seiji Horiguchi
Party Photo/ 緑 秀晃


KAZUKIYO [BOUNSTEP] LESSON INFORMATION
毎週金曜日 21:30 - 23:00
HOUSE 初級 レッスン
レッスンに関する詳細はこちらから。
その他のレッスンスケジュールはこちらから。



Seiji Horiguchi
フリーライター。
新聞記者になることを夢見る学生時代を経て、気づけばアメ村に。関西を中心に、アーティスト(ダンサー/ラッパー/シンガー/フォトグラファー/ヘアアーティスト stc…)のプロフィール作成やインタビュー記事の作成を行っている。
現在の主な執筆活動としては
・FRESH DANCE STUDIOインタビューシリーズ
・カジカジ、連載「HAKAH’S PROCESS」
・その他パーティレポ、ダンスチーム紹介文、音楽作品の紹介
などが挙げられる。
大阪のストリートカルチャーにアンテナを張りつつアンダーグラウンドの「かっこいい」を広めるべく日々執筆中。


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