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【30min interview】 DJ QUESTA "BLACK LABEL"

2019.09.23

30min interview to DJ QUESTA
※この記事が出たのは2019年2月26日です。
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2017年春に発足し、オンラインにてレコード/CD,DVD/アパレル/各種グッズを取り扱っているBETWEEN MUSIC STORE。大阪アンダーグラウンドにて長年活動を続けるDY&QUESTAの二人が仕掛け人だ。そんなBETWEENから不定期で発信されているmix CDシリーズの最新版が2019年3月にドロップされるという情報が。第一弾はDJ DY、第二弾はDJ SOOMA…と、毎回異なるDJの音楽を楽しむことができるmixとして話題となっているが、今回は満を持して(?)DJ QUESTAがselect & mixを担当する。mixの内容とDJ QUESTAのキャリア、そしてDJingとの向き合い方に迫る。

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よろしくお願いします。早速ですが2019年3月にリリースされるのBETWEENからのmix、その名も"BLACK LABEL"について。今回QUESTAさんが担当することになった経緯を教えてください。

「HOUSEはまだ誰もやってないね」という話になって。自分は好きなHOUSE DJがいっぱいいて、どの人に頼もうか考えてたんやけど、DYちゃんから「それやったらヒロ(QUESTA)が出したらいいやん」て言われたから、ほな俺がやろかーって。

あっさりとした流れですね(笑) 以前、DYさんとQUESTAさんを迎えて行った30分インタビューの中で、QUESTAさんは「ジャンルの縛りがないとmixを作るのが苦手」という話をされていましたが、今回は「HOUSE縛り」になったわけですね。
DY&QUESTA 30min interview about BMS


正確にはジャンルというよりも、選曲する上での「テーマ的な縛り」が必要だと思っていて。

(2019年2月の時点で)もう制作自体は終わっているんですか?

うん。今年の1月に体調を崩してダウンしてしまった時があって。家にいるけどなかなか寝れんくてやることないし、せっかくやったら(mixの)選曲もしてしまおうと思って。どちらにしろレコードはずっとかけてるし。2日で作った。そういえば今までHOUSEでmix作ったことないね。

部屋でレコードをかける作業というか習慣の延長でmixの選曲もされたということは、今回のmixは全てレコードからの音源というわけですね。

そうやね。でもあまりアナログやからすごいとか、データやからどうとか、そこへの偏見はないかも。どちらにもいい点はあるし。レコードにこだわってるというよりも、めちゃめちゃレコードが好きというだけで。
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寝込んでいる時間もレコードを聴いているあたりもまさに。

レコードを通ってきてる人と、データでDJをするところから入った人では、曲の捉え方が違うかもしれない。どっちにもいいところはあると思うけど。俺らは選択肢がレコードしかなかったけどね。

なるほど。ところでデジタルのDJが主流になり始めたのはいつ頃からなんでしょうか?

だいたい10年くらい前かな。自分が25,6歳くらい。serato(セラート)っていう機材が出てきて、みんな一気にそっちに流れた。やっぱりレコードを買うというのはお金がかかるし。自分の働いてたレコ屋もつぶれたりして。それでも一番レコードが売れない時代から、今は若干巻き返してるかなっていう感覚はあるけどね。若い子の中でもレコードを買う人が増えてきてたり。

他にも一周回って「カセットテープが渋い!」となったりも。時代は回る、ですね。

もちろんその流れはあるね。音楽もそうやけど。自分が高校生くらいの頃って、レコ屋で買い物してその袋を持って歩くのがちょっとしたステータスやったからね。メジャーどころやったらmanhattan recordsとか。CISCO(シスコ)とかDMRとかやったら「あ、ちょっと渋いな」って思ったり(笑)

最初に熱心にレコードを集めだした音楽は?

もちろんHIP HOP。でも気づいたらHOUSEとか他のジャンルも集めだしたなぁ。いつからやっけなぁ。

いろんなジャンルの音楽をプレイできるDJというのは多いですが、QUESTAさんに関してはあらゆるジャンルに精通していて、そしてかっこいい。例えばPROPSでのHIP HOP DJとしての一面もあるし、Monday Channelにもゲストで呼ばれるHOUSE DJとしての一面もあるし、あるいはテクノのパーティでも回されたり。そういうDJは少ないんじゃないかなと。
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自分の完全なバックボーンはHIP HOPやねんけど、ちょっとあまのじゃくな所もあって。人とちゃうことをしたいというか。レコード屋に出入りするくらいの頃にSTONES THROWが人気になってきてて。自分もMadlibの大ファンやし。そうやってアンダーグラウンドのHIP HOPをいろいろ掘っていく中で自分の耳がどんな音楽でも聞けるようになっていったんやと思う。そこでHOUSEも好きになったね。もちろんSoulとかFunkとかJazzとかReggaeも好き。それから最初に働いてたDMRっていうレコ屋を辞めた後、NEWTONE RECORDSっていう店で働くねんけど、そこはいろんなジャンルの大好きなDJが働いてるレコ屋で。そのDJがbuyingする音楽を自然に聴いてて。その中でかっこいいと思ったレコードを貸してもらったり。

NEWTONE RECORDS HP

働く環境が重要だったわけですね。

人からの影響はかなり大きいね。一人やと入ってくる情報も限定されてしまうけど、自分の場合はいろんな人からいろんなことを教えてもらってきた。それに対して自分なりに良いところを見つけて楽しむ。自分は基本的にどんな音楽でも良いところを見つけることができるタイプやと思ってて。もちろんその中でも「好きかどうか」という基準もある。人がいいっていう音楽に対して「自分は好きじゃない」となる時もやっぱりあるし。そういう聴き方で、選(よ)って選っていろんなジャンルのレコードを集めてきたね。

普段、他のmixを作る時もだいたい2日ほどで完成するのでしょうか。

録ってからは早いねんけど録るまでが遅い、というか腰が重いね。(笑) でももっと気軽に「今はこういう音楽を聴いてる」というのを発信できた方がいいのかなとも思ってる。今回BETWEENからはHOUSEのmixを出すわけやけど、そうすると「最近はHOUSEしか聴いてないのかな」って思われたりもするので。

そんなことが…。偏った見方ですね。

そういう捉え方をされるのは嫌やね。mixで選んでいるのは、ごく一部のジャンルのごく一部のレコードなので。でも、だからこそいろんなジャンルのmixを作らないといけないのかなと思ったり。

今回のmixを拝聴して、前半がシックなイメージで後半が歌モノをはじめ明るい印象になったりと展開を感じられますが、内容的に何か意識したことは?
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「DEEPにいきたい、でもそうなりすぎない」みたいな…駆け引き?(笑) でも正直「HOUSE入門」みたいな位置付けで作ったつもりもなくて。クラブのフロアで聴くのと、普段聴く音楽の間をいくような。あんまり深いところに行くとみんな疲れるやろし、キャッチーにしすぎると普段聴いてる人からしたら物足りないやろし。そういうのが難しいねんな。

絶妙なバランス感覚が必要になりますね。先日DYさんから「今年はBETWEENのmixをいいテンポでリリースしたい」という話をうかがいました。確かに前回のDJ SOOMAさんの「GROUNDWORK」から4か月弱という短いインターバルを考えると期待も高まります。

これくらいのペースでいけたらいいかなぁ。一応もう次も声はかけて決まりつつあるよ。個人的にもmixは今年は頑張って作りたいな。…けどこういうことを言うとまたハードルが上がるからやめとこ(笑)

楽しみが増えます。ところでmixというのはQUESTAさんの中でどういった役割を担っていますか?デモンストレーションのようなもの?

なんなんやろ。でも実際のパーティでのDJはまた微妙に違うやろし。やっぱりパーティでは、クラブの雰囲気、遊びに来るお客さんの雰囲気、時間帯とか全部意識するしね。それに対してmixは録音物やから。自分を知ってもらうアウトプットの中の一つやね。

なるほど。QUESTAさんは先ほども話したように様々なジャンルに精通していると同時に、人との結びつきも強い方というイメージがあります。大小様々なパーティ、フェスにも出演されていますし、また地域を飛び越えて各地のプレイヤーとの繋がりを持っている方だな、と。

いろんな音楽に興味があって、いろんなジャンルの好きなDJが今どんな音楽かけてるんやろっていうのに興味があるから、昔からいろんなクラブに遊びに行ってた。そしてもちろんNEWTONE RECORDSで働いていた経験も大きい。レコ屋ってほんまにいろんなレコードと触れ合う機会があってさ。出会う音楽を最初に否定してしまえばそれまでやけど、興味を持って踏み込んで見れば新しい発見ができたり。逆にそっち側から見た時に自分が元々好きやった音楽にも再発見があったりするし。今でも俺の知らん音楽を知っている人は沢山いるし、そういうのをもっと知っていきたいな。それを自分なりのフィルターを通して表現していけたら面白いよね。

1つのジャンルにこだわって追求する職人肌なDJも自分は好きですが「いろんな音楽に好奇心がある」というのはQUESTAさんの魅力であり能力ですね。

自分はやっぱり「レコードを売る、買う、かける」が好きなので。それをもっと続けていきたい。でも人の音楽に対して否定する気はないし、自分の良いと思ってる音楽がみんなにとっても良いと思える音楽とは思ってない。ただ「こういう音楽がある」っていう紹介はしていきたいし、そこから引っかかるものがあって広がっていけば素敵やし。

個々が自由に音楽を楽しむことを尊重すべきだと繰り返したQUESTA。にこやかにラフにインタビューに応じながらも、確固たるバックボーンを感じさせる言葉選びや所作が印象的であった。肩の力が抜けつつも、音楽を楽しみ楽しませる彼の姿勢を見れば、ファンの多さにも頷ける。インタビュー中も、たまたま店内に居合わせた府外のヘッズとパーティの話に花を咲かせたり、これまた偶然遭遇したクラブスタッフと挨拶を交わすなど、繋がりの広さを感じさせた。
歴年のキャリアと音楽への飽くなき好奇心を持つDJの快進撃が今年も始まる。


QUESTA(HOOFIT/BETWEEN MUSIC STORE) プロフィール

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フロアの感覚と音楽的な流れに則って、時代、ジャンルに捕われない様々な音楽からダンスするグルーヴを抽出。パーティーに合わせた縦横無尽な選曲を安定感抜群のダンスグルーヴに纏め上げるプレイスタイルがコアなパーティーピープルやダンサー等を中心に、多くのミュージックラバーから信頼を集めている大阪のDJ。現在は自身も主催に参加する『HOOFIT』、『PROPS』を中心に、大小、ジャンルを問わず多くのパーティーに参加し、大阪を拠点に県外や海外へも招かれる等、活動の幅を広げている。またこれまでのレコード店勤務の経験を活かし、仲間のDYと共にレコード、CDの販売を中心としたオンラインショップ、BETWEEN MUSIC STOREを立ち上げ運営中。日々フレッシュな音楽を探し求めながら底の見えない音楽の沼をゆっくりゆっくり遊泳中。
BETWEEN MUSIC STORE OFFICIAL


インタビュー・文 : Seiji Horiguchi
Seiji Horiguchi
フリーライター。新聞記者になることを夢見る学生時代を経て、気づけばアメ村に。関西を中心に、アーティスト(ダンサー/ラッパー/シンガー/フォトグラファー/ヘアアーティスト stc…)のプロフィール作成やインタビュー記事の作成を行っている。現在の主な執筆活動としては
・FRESH DANCE STUDIOインタビューシリーズ
・カジカジ、連載「HAKAH’S PROCESS」
・その他パーティレポ、ダンスチーム紹介文、音楽作品の紹介
などが挙げられる。大阪のアンダーグラウンドシーンにアンテナを張りつつストリートカルチャーの「かっこいい」を広めるべく日々執筆中。


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