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FRESH DANCE STUDIO PRESENTS ロングインタビュー - Kzyboost&FunkyP

2023.07.30

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FRESH DANCE STUDIOが送るインタビューシリーズ。今回は、トークボクサー/ビートメイカーとして数々のアーティストとの音源を次々リリースし、現場でのライブも精力的に行っているKzyboostと、日本トップレベルのスキルとフットワークの軽さで全国をまたにかけて活動を展開するポッパーFunkyPの2人。大学時代にチームメイトとして活動し始め、現在はパートナーとして暮らしながらも、それぞれの活動を全うしている彼らは、いずれも音楽シーンとダンスシーンを繋げるキーパーソン。アクティブに活動するモチベーションはどこからくるのか、また社会人として働きながらプレイヤーとして最前線で活動する秘訣はなんなのか。まずは2人のバックグラウンドから掘り下げることによって、彼らが大事にしているマインドや、目指すビジョンに迫る。今回のロケーションは浪速区元町にあるメキシコ料理屋[MACHETE]。クラブでの出店も積極的に行う一方で、店舗でしか味わえないスペアリブやチョリソーライスも人気メニューの一つ。まずは冷えたビールで乾杯し、インタビューが始まった。

ダンスサークル。師匠KEIの影響力。

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宜しくお願いします。まずはお二人が出会った頃や、チームメイトとして踊っていた頃のお話を聞きたくて。

Kzyboost : 僕らが入った大学のダンスサークルで、ある日「1回生で練習しませんか?」という企画があって。それで集まったのが、自分と、別の男の子と、もう1人がP(FunkyP)だったんです。そこから一緒に練習し出すようになります。

FunkyP : わたしは高校までGIRL’Sをやってたんですけど、HIPHOPを上手くなるためにPOPをしたいって思ってサークルではPOPを踊ろうと思っていました。で、最初にPOPの基礎を教えてもらったのがカズヤ(Kzyboost)だったんです。

Kzyboost : 自分は独学で高校から踊ってました。『DANCE STYLE POPPIN』っていうダンスレクチャーのDVDでレジェンドが踊ってるのを見て衝撃を受けたんです。最後に「SOUL TRAIN」みたいに全員が順番に出てきて踊るんですけど、レクチャーのパートでは登場してなかったCo-thkooが出てきた時に「誰かわからんけどこのロン毛の人やっば!」ってなったんです。それがKEIさんですね。
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GIRL‘S HIPHOPを踊っていたFunkyPさんが本格的にPOPに転向したのはどんなきっかけがあったんでしょう?

FunkyP : もともとPOPには苦手意識がありました。大学からKEIさんのレッスンを受け出したカズヤに自分も誘われて。で、初めてKEIさんのレッスンに行った時に衝撃を受けたんです。「POPってこんなにかっこいいんや!!!」と、印象が180度変わってのめり込みました。レッスン後に梅田のESTで練習したりして。

KEIさんの1回のレッスンで全てが変わったとは!

FunkyP : そういえば、サークル入って2週間くらいの頃、HOOK UPのPOPの回に観覧しに行ったら先輩に言われて無理やり出させられたこともありました(笑) ジャッジのSEENさんの前で、ショーパンにタイツに赤髪で踊るという(笑)

Kzyboost : めっちゃギャルやったよね。ミニスカにヒール履いたりして。逆に僕は中高が男子校で髪型とかの指定も厳しいところだったんです。大学入ってからはKEIさんの真似してロン毛にして、チェックの短パンと長めのソックスにサングラスかけて、LAのキャップかぶってね!
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FUNKBOOST結成。FunkyPの覚醒。

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「FUNKBOOST」として活動するのはどんな経緯が?

Kzyboost : レッスン通い出してしばらく経ったある時、KEIさんがレッスン終わりに「俺の下でやってみるか?」って言ってくれたんです。

FunkyP : もちろん即答で「ついていきます!」って返事しました。そしてKEIさんに恩返しする意味も込めてFUNKBOOSTを組みました。

Kzyboost : 当時、レッスンで出会ったTAROっていうやつと3人でね。その後はずっとチームで活動するんですけど、PがKEIさんに習い出してから異常に上手くなりだして(笑) 例えば「ヒットはこういう感じ」って教わったイメージを、すぐものにしてた。少しあとに出たHOOK UPでPが準優勝したときは、俺、悔しくて泣いたもん!

FunkyP : POP始めて1年くらいの時ですね。ただのビギナーズラックです(笑)

Kzyboost : 俺はそこから自分のダンスに自信がなくなっていくんです。「俺、こいつより練習してるのに…!」って。よく周りからも「彼女に負けてるやん!」とか言われたり。
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FunkyP : カズヤはめちゃくちゃ努力家で、毎日バイトとか学校終わりに練習してて!でも「Pの彼氏」とか言われたりしても一切嫌な顔せず、「こいつはすごい」って他の人に言ってくれたりして。そうやって相手を立てられるってすごいことだと思うんです。カズヤが音楽を始めて有名になった時、今度は私が「Kzyboostの嫁」って言われるようになるんですけど、そこで改めて当時のカズヤの気持ちがわかったし、その人間性が素晴らしいと思えました。良い旦那に巡り合いました!(笑)

仕事とダンス/音楽の両立。イバラの道への覚悟。

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現在、プレイヤーとして第一線で活動されている一方で、社会人として平日は働かれていることも、お二人の大きな特徴です。この記事を読んでいる方のなかには、まさに今「就職かダンスか…」と悩んでいる方もいらっしゃると思うのですが、ダンスをバリバリやりつつも進路を考えた大学時代について聞かせていただけますか?

Kzyboost : 「バイトしながらダンスがっつりやってみたい」って気持ちもあったけど、自分が一人っ子っていうのと、私立の学校も行かせてもらったから一回社会人にはなっておこうと思って就活しました。

FunkyP : 私も最初の方は「ダンスだけでやっていきたい」って思ってたけど、次第に社会経験をするのも必要だと思うようになりました。就職することで社会の厳しさも知れるし、一般的なマナーも身につけたいと思って。あと、あまり知られてないかもしれないけど、いま大御所といわれるPOPの先輩方も、サラリーマンとして働かれていた方が多いんですよ!それを聞いていたのも大きいですね。ただ、就職してからダンスから離れる人が多いこともあって、KEIさんには「社会人になってからがスタートやで」とよく言われてましたね。

Kzyboost : その言葉を聞いて、自分らは逆に「社会人になっても絶対ダンス辞めない!」って思いました。

FunkyP : 「死ぬ気でついていく!」ってね。だから「仕事とダンスを両立する」という意味で覚悟して就職しました
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実際に社会人ダンサーになったばかりの頃はいかがでしたか?

FunkyP : わたしはいきなり厳しい部署に入ったので大変でした。毎朝6時に起きて仕事行って、遅い時は終電で帰る日もあったり。でも週末は必ず練習とかセッションをしてました。あと、どんなに忙しくても疲れててもレッスンは絶対休まず行くって決めてました。一回休んだら絶対だれちゃうから!

Kzyboost : 俺もそうやった。家帰ってソファー座ったら終わりやから「とりあえず一回練習行こ!」みたいな(笑) でも、社会人になってからも普通に平日、朝までイベント行ってたよな?

FunkyP : 行ってた。「木スペ」とか遊びに行って、次の日死にそうになりながら仕事してた。限界を超えた時は早退させてもらって点滴打ちに行ったり。パソコンのキーボード押したままうたた寝して気づいたら改行しまくってたり(笑)
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社会人とプレイヤーの両立を10年近く続けられているわけですが、心境だったりバランスの変化はありましたか?例えば「もう仕事は辞めて音楽・ダンス一本にしよう」と考えたり。

Kzyboost : それこそ、うまくいかなくて「仕事辞めたいな〜」って思うこともありますよ。ただ、それって一時的なもので、先のこと考えると「辞めなくて良いかな」って思い直します。それと、仕事してるからこそ音楽に打ち込めるのかもしれないと思っていて。サラリーマンと音楽のギャップが実は好きやったりするんですよ。土日にすごい人数の前でライブして、平日は普通のサラリーマンに戻る、みたいなね(笑)

Daichi YamamotoさんとZINさんを迎えたKzyboostさんのシングル『ZERO』(2023)でのDaichiさんの歌詞にも出てきますね。

“世界がいつまで続くかは分からないけど今日は鎧解いて、今宵は平日サラリーマンの音に揺られて”


Kzyboost : 音楽でしっかり上手くいって仕事を続けるのが大変になったら辞めるかもしれないですが、それってよっぽどのことがない限りないじゃないですか。これって見方によっては逃げって思われるかもやけど、自分にとってはそれが合ってると思います。

FunkyP : わたしはレッスンをしっかりやってみたいと思って、転職しました。わたしについてきてくれる人に、自分が教わってきたスピリットを伝えていきたいと思うようになったんです。今の仕事は、前職より自分のペースで働けるし、副業可なのでレッスンもがっつりできるようになり、活動の幅も広がりました。ただ、ダンス一本にしないのは、クラブなどの遊び場で思い切り遊びたいし(笑)、いつでもフットワーク軽く、国内外問わずいろんな所へ挑戦しに行きたいっていう気持ちがあるからですね。動きたいからこそ働きたい。もちろんダンス一本でやってる人達には心からのリスペクトがあります。私もいつか自然にそうなれたらいいなとも思います。
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たびたび訪れるハードスケジュール。更新するキャパ!


普段の生活サイクルはどんな感じですか?

Kzyboost : 朝6時半とか7時に起きて出勤して、夜の8時くらいまで仕事して帰ってきて、風呂入って飯食って音楽作って、早かったら12時には寝るけど遅かったら2時くらいまで起きてる時もありますかね。平日はその繰り返し。もっとハードにやってる時期もあったけど、最近は無理しない範囲でやってます。

FunkyP : わたしは9時に起きて出勤して6時に終わって、そのままレッスン行って終電で帰るって感じです。何もなかったらずーっと寝てるんで、忙しいくらいがちょうど良いです(笑)

起きておかないといけない理由を作るわけですね。PさんはFRESHでのレギュラーレッスンはもちろん、それ以外にも毎週FRESHでも練習されていて、週末はどこかしらのイベントに出演して、地方のバトルにも積極的に挑戦されて、しかもお昼は働かれていて…と、「一体どんな時間の使い方をしてるんだろう?」と時々不思議に思います(笑)

FunkyP : スケジュールをタイトに詰め込みすぎた時は、家に帰っても「あと10分でまた出ないと!」ってなったり、「2時間後に起こして!」ってカズヤにお願いして仮眠とったりすることもあります(笑)

Kzyboost : ほんまにすごいと思う。やりすぎなときもあるけどな(笑) Pは食事にこだわってて、無農薬の野菜を選んだりしてるんすけど、「いや、それより寝ろよ!」って突っ込みます(笑)
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FunkyP : レッスン、イベント、仕事のこととかで慌ただしいところに、ショーのお話をいただいたり、バトル出に行ったりとかなるとパンパンになるけど、いつもなんとか乗り切れるんですよ(笑) 「これ、今までで一番ハードスケジュール…!」ってなってても、最終なんとかなる。自分のキャパは更新できることが分かりましたね(笑)

音楽の道に進んだKzyboost。2人の先人への恩返し。


改めてKzyboostさんがトークボックスを始められたきっかけと、活動してから今に至るまでの話をお聞きしたいです。

Kzyboost : トークボックスに興味をもったきっかけはかなり昔です。Skeeter Rabbitの追悼イベントがAlleyoop主催で開かれて。その時にFAB5BOOGzが『DEEP』を使ってショーしてて、「この曲やば!」って衝撃を受けたんです。

Kzyboost「大人になったらトークボックスやってみたい」と思ってて。で、就職して東京に住み出した時に、POPやってる先輩がトークボックスの機材を譲ってくれたんですよ。そこからアホみたいに毎日やってました。最初は何もできなかったですけどね(笑)

それまで、何か楽器の経験はあったんでしょうか?

Kzyboost : 小学校の時にピアノをちょっとやってました。指が短すぎて諦めたけど(笑) ビートメイクはKEIさんがきっかけです。ある日のレッスンで、KEIさんが曲を流して「この曲の中に何種類の音が混ざってるか当ててみ」って言われて。生徒が順番に言っていくんですけど、なぜか僕が一番多く音の種類を当てられたんですよ。そこからMPCのアプリを教えてもらってなんとなくやってたんですけど、社会人になって機材で練習し始めてから「これで音源とか作れるやん!」と思って毎日やり出しました。ほんまに毎日やってましたね。

トークボクサーとしての初舞台はいつですか?

Kzyboost : ちゃんとしたライブはSHOW-GO主催の「PARTY PARTY」ですかね。そこで初めていろんな人に見てもらいました。あと、「OKEY DOKEY」とか、GONさんがやってた「中山会」とかでもライブしましたね。それから大学時代に遊びに行ってた京都のクラブの[WEST HARLEM]とか[GRIND]でやらしてもらうことも多かったです。
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今年はサマソニ出演ですからね!凄まじい飛躍ですし、夢があります。

Kzyboost : いやーコウジさん(grooveman Spot)のおかげですね!

FunkyP : コウジさんは夫婦でお世話になってます。人としても合うところが大きいかも知れない。ダンスとか音楽以外の部分でも話せることが多いし、感覚も似てて。

Kzyboost : 逆に音楽の話はそこまでせえへんかも。

kzyboostさんは、多方面のラッパーやシンガーとの音源をリリースされていますが、同じく「人として繋がってから音源を作る」という流れが多いですか?

Kzyboost : そうですね。まずは一緒に過ごす時間がないと難しいでしょうね。

FunkyP : そこのステップは大事やんね。ダンスも同じです。今、一緒に踊ってるRickyは15年くらいの仲で、Rickyが沖縄から出てきた時から一緒に練習したり遊んだりしてたから、自然と一緒にショーするようになったし、emiさん(MAHINA)とも、人としてつながってショーするようになりました。どんな人か知らないうちからショーはできない。カズヤも繋がりを大事にしてるからこそ良い音楽が作れるんだと思う。


Kzyboost : YotaroとAru-2ははじめからスムーズにトラックメイクできましたね。曲作りでもめっちゃリードしてくれて。もしかしたら「曲やろ!」ってなるのって、年が近いのも意外と大事かも。コウジさんも仲良くしてくれはるけど、音楽を作る時に改めて「やっぱりすごい…!!」と、大先輩ということを痛感しますね。「遊びで作ってみた」って送ってくれる音源が、もう遊びの次元じゃなかったりするんすよ(笑)

FunkyP : 先輩とか師匠は、ふとした時に違いを見せつけられるよね!KEIさんも理解者であってくれるし、近い存在ではあるけど、踊ったらめちゃくちゃかまされて「全然届く気しない…!」って気持ちになる。どんなに仲良くても背筋が伸びます。

Kzyboost : KEIさんと自分らって10歳くらい離れてるから、初めて会った時のKEIさんが28歳とかなんですけど、自分が28歳になった時「出会った頃のKEIさんと同い年か…」って思ったら全然追いつけてないっすね(笑)

FunkyP : 私らが20代の時にKEIさんから「10年後に俺を超えろ」って言われたこともあったけど、実際難しいなあ...って思います(笑) パークスとかで一緒に練習させてもらってた昔の映像とか、今見返してもめっちゃやばいし、今の自分でも足元にも及ばないって思う…。もちろんダンスはこれからも頑張るけど、人間性でも追いつきたいし追い越したいですね。スキルとかトロフィーの数も大事やけど、どんな生き方をしてどんな人間になるかが重要だし師匠への恩返しだと思う。まだまだですし先は長いけど、それをやっていきたいですね。

最後に告知があればお願いします。

FunkyP:8/19にPOPバトルを主催します!もともとコロナ前に企画していたもので、ジャッジ基準は「かっこいいかどうかだけ」というバトルです。とにかく音にこだわっているので、POP以外のジャンルの方やダンサー以外の方にも楽しんで頂けるかと思うので、是非チェックして頂きたいです。
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Kzyboost:自分は秋頃に作品をリリース予定です。10月に中目黒のSolfaでリリパも開催予定。ありがたいことに出て欲しい人全員にokもらってます!盛り上がると思うので是非チェックしてみてください。

FunkyP:そしてgrooveman Spotさんも先日アルバムリリースされました!その全国ツアーに私たちも可能な範囲で回らせていただく予定です。大阪場所は、来年の1月27日。私主催で企画させてもらうことになっていますので、是非宜しくお願いします!



[あとがき]
ここまで読まれた方は分かる通り、彼らのエネルギッシュな活動の背景には、師匠KEIの存在が大きいことがわかった。今回のインタビューで触れた部分以外にも、2人の琴線に触れる師匠の粋な言動が沢山あったのだろう。また、2時間近くのインタビューを通して個人的に印象深かったのは、彼らの“ピュアさ”だ。自分の感動にとことん素直な心こそが、継続力やコミュニケーション力を生み出しているんじゃないだろうか。知識や経験がついてくると、つい斜に構えてピュアにものごとを捉えられなくなってしまう。しかし、良いものには「良い」と手放しで感動することこそ、モチベーション維持や、ひいては心身の健康に繋がるのかもしれない。我々も、2人が生み出す音楽やダンスに身を委ねて心を震わせようではないか。


FunkyPレッスン情報
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毎週木曜日20:00-21:30 POP入門/初級CLASS
レッスンの詳細はこちら


店舗情報
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[MACHETE]
住所 : 浪速区元町2-4-15 難波ビル1F
定休日 : 月曜日
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